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五十肩:五十肩/鍼灸治療レポート34

女性 50代
症状:頸椎症、右肩関節痛(五十肩)

既往歴

ハイキング下山中の転倒により左前十字靭帯(ACL)を断裂し、手術およびリハビリテーション歴がある。現在も左下肢の筋出力に不安があり、無意識に右側へ荷重する傾向を自覚している。腰部には軽度の慢性疼痛を認める。
頭痛を時折発症するが、早期に治療を受けることで悪化は防げている。最近は右肩の可動域制限により、着脱しやすい衣類を選択して生活している。

五十肩の現病歴

2週間前より右肩の疼痛および可動域制限を自覚。洗濯物を干す動作や、更衣動作(特に背中に手を回す動き)で強い疼痛が出現している。夜間痛を認め、寝返り時に疼痛で覚醒することがある。
10年前にC6~7レベルの頸椎症と診断され、当時は右上肢への放散痛およびしびれを認めていた。現在は著明なしびれはないものの、長時間のデスクワークやスマートフォン操作後に、右肩から上腕外側にかけて重だるさが出現する。
また、10年前に右肩の四十肩の既往がある。

鑑別診断

スパーリングテスト:+
ジャクソンテスト:+
ホフマン反射:-
徒手筋力検査(MMT):-
握力検査:-
C6~7レベルの頸椎症の既往により、長期間にわたり頸肩部の筋緊張および肩甲帯機能不全が生じていたと考えられる。また、左前十字靭帯(ACL)断裂後の左下肢筋力低下に伴い、右側優位の荷重パターンが形成され、体幹および骨盤アライメントの偏位が慢性化していた可能性が高い。
これにより、腰部への負担増加、肩甲骨可動性低下、頸肩部筋緊張の亢進を招き、肩峰下インピンジメントを助長した結果、右肩関節周囲炎(五十肩)を発症したものと考えられる。また、スパーリングテスト、ジャクソンテストが陽性であり、頸椎由来の神経症状が肩関節痛を増幅している可能性も否定できず、頸椎症と五十肩が相互に影響し合う複合的な病態と判断した。

五十肩への鍼灸治療

Dr. Liu Methodの考え方に基づき、肩関節周囲筋(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・三角筋)、頸椎C5~C7レベル周囲筋および肩甲骨周囲筋に対して鍼施術を実施した。
使用穴は肩井、上大椎、天柱、風池を選穴し、頸肩部の筋緊張緩和、肩甲帯の可動性改善および自律神経調整を目的とした。また、腰部へのアプローチを併用することで、左ACL術後より生じている右荷重優位の改善と全身バランスの調整を図った。
加えて、頸肩部を中心に手技療法を実施し、肩関節周囲および肩甲骨周囲筋の柔軟性向上を図った。
施術後、肩関節屈曲は140°から160°、外転は120°から150°へ改善し、疼痛はNRS7/10から3/10へ軽減した。結帯動作についても疼痛は残存するものの、施術前と比較してスムーズな動作が可能となった。
患者本人からは「肩が軽くなり、腕が挙げやすくなった」とのコメントが得られた。

五十肩の生活指導

頸椎伸展位でのスマートフォン操作が頸肩部への負担を増大させるため、長時間の使用を控え、目線の高さで操作するよう指導した。
また、肩甲骨の可動性低下が認められたため、肩甲骨内外転運動および胸郭伸展エクササイズを指導した。さらに、左中臀筋の筋力低下が右荷重優位の一因と考えられたため、中臀筋トレーニングを継続するよう説明した。

経過

次回来院時には夜間痛の軽減も認められた。
今後も疼痛の程度、肩関節可動域および夜間痛の変化を評価しながら、五十肩との関連が考えられる肘関節へのアプローチを含め、継続的な治療を行っていく予定である。

この症例の担当者
宮村 和希
宮村 和希
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