アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患の一種で、強いかゆみを伴う炎症が皮膚の上で起きている状態ですが、根本は目に見えないところ、つまり身体の中にあると捉えて私たちは治療します。
ひとつの要因として、自律神経のバランスの崩れがアトピー性皮膚炎の状態に大きく影響を与えています。 自律神経は内臓、血管、皮膚などの運動と、ホルモンや消化液等の分泌を支配する神経で、心拍数、体温、血管の収縮・拡張、腸の働きなどを調節しています。 この神経の働きが乱れることでさまざまな不調が起き、その結果、アレルギー症状を悪化させることが原因と考えられています。
したがって、鍼灸治療では、脳に直接働きかけることで自律神経を整えることが重要になります。 自律神経を正常に機能させ、内臓を元気にするのです。
特に胃腸の状態は最も重要です。 東洋医学的なアプローチで自律神経の調整と身体の水分循環を改善させ、人間が本来持つ自然治癒力を高めていきます。
また、アトピー性皮膚炎は、心理的な不安、恐怖心など心因性の要素が関与している場合が多く、さらに生活習慣なども影響を与えることがあります。
アレルギー体質の仕組みは他のアレルギー疾患でも同じなので、アトピー性皮膚炎以外のアレルギー症状も鍼灸治療で改善ができます。繰り返し鍼灸治療を施すことで、アレルギーに強い体質を作ることができるのです。
●腸内環境からの改善
アトピー性皮膚炎は、胃腸との関係が深いのです。 食生活・生活習慣の乱れは腸の免疫機能を狂わせ、アレルギーが起こりやすい状態を招きます。 また、消化作用がうまく機能していないと未消化のものが腸から血液中に送り込まれ、それに対して免疫機能が作用し、体内に炎症を引き起こすこともあります。
近年の腸内細菌の研究により、腸内環境と身体の関係について様々なことが分かってきました。 アレルギーも、腸内環境が身体に影響を与えるものの1つです。
当院では、腸を元気にする鍼治療のほか、市販されているビフィズス菌などの善玉菌を摂取し患者さん自身の菌を育てる重要性も伝え、腸内環境を整えるアドバイスもしています。
食生活・生活習慣からの改善
アトピー性皮膚炎において食事は重要です。鍼による施術で自律神経のバランスを整えながら、栄養のある食事を心がけてください。
神経の働きを正常に保ってくれるのが豚肉やサバ、イワシなどに含まれているビタミンB群です。しかし、日常で強いストレスを感じることが多いと急激にビタミンB群が消費されていきます。
また、ストレスを感じると副腎という臓器からストレス耐性をアップさせるホルモンが分泌されますが、このホルモンの材料として欠かせないのがビタミンCです。 ビタミンAやEも、自律神経をコントロールし、症状を緩和させる効果があります。 小魚や乳製品に含まれているカルシウムはイライラを鎮め、不眠を解消する効果がありますので、しっかりと栄養を摂り身体を休めるようにしてください。
その他、アレルギーの原因になるダニやほこりを取り除いて室内を清潔に保つことや、加湿器などで適度な湿度を保つことを心掛けましょう。
爪を短く切ることもポイントです。 寝ている間に気付かずに掻いてしまう事もあるため、長い爪では皮膚を傷めて症状を悪化させる原因になります。
治療について
アトピー性皮膚炎に対する施術の中で、特に重要なポイントになるのが、胸椎や腰椎の棘突起(背骨の中央にある大きな突起)を指圧する手技です。
交感神経も副交感神経も、根本の部分は脊髄の中にあるため、胸椎と腰椎を刺激することで、交感神経と副交感神経に影響を与えることができます。
しかも、脊柱の両脇には交感神経が通るパイプのようなものがあり、内臓につながるツボも並んでいるため、このラインを刺激することで交感神経と副交感神経のバランスを取り戻すことができます。
また、肩甲骨の内側を刺激する手技・鍼刺激も重要なポイントです。 肩甲骨の内側にあるツボは万病に効くツボで、特に自律神経失調症に対してはめざましい効果を発揮します。 お灸での施術も効果的です。 肩や背部、肘周り、膝周りにあるツボに刺激をし、免疫異常や水分代謝異常などに対してアプローチをします。