女性　50代　会社員
症状：首こり・肩こり

現病歴

デスクワークが中心で一日の大変をパソコン作業が占めている。痛みやしびれは出ていないが、後頚部から肩の上部にかけて強い張りを感じている。
慢性的に首肩こりを強く感じるようになり、頭痛で悩まないためにも早期改善のため来院された。

鑑別診断

腹診では左少腹（へその外側）と心窩（胸骨の下）に圧痛と張りを認め、脈は深く強い。舌は舌下静脈が強く浮き出している。
問診をすると、もともと神経質な傾向で、仕事も企画を練るような部署である上、私生活でも家族の健康面や諸々の心配ごとがあり、常に精神的なストレスが強い様子。そのせいか、睡眠の質も悪く、寝つきも良くない状態が続いている。
以上のことから、長年に及ぶ精神的ストレスが「肝」と「心」を痛め、気血の巡りを阻害したことによりストレス性の肩こりを引き起こしたものと考える。

※東洋医学の考え方では、肝（臓）と心（臓）はストレス・精神の安定に深い関りがある

治療法

肝と心の気血の流れを改善することを目的とし、仰臥位で太衝（たいしょう）、神門（しんもん）内関（ないかん）、三陰交（さんいんこう）に鍼治療を施し、置鍼する。
睡眠不足による腎陰（腎臓の気）不足を補うため根本治療も加える。
鍼を抜いた後に身体の状態を確認すると、腹部の圧痛、舌下静脈の浮き出しは消失し、脈も落ち着き患者さんご本人も血流が良くなっていることを実感されていた。
伏臥位で首や肩の局所の鍼治療と全身へのマッサージを行い、施術終了。

生活状況から、初めは週に1日程度の頻度で来院され、その後も強いコリを感じる前の来院を目安に鍼治療を継続。
治療を重ねるうちに、仕事で少し無理をすることがあっても初回来院時のような首肩こりの辛さを感じにくくなってきており、睡眠の質も良くなっている。