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顔面神経麻痺:顔面神経麻痺/鍼灸治療レポート12

40代 女性 専業主婦
症状:左顔面部の動かしづらさ、口を動かすときに目が閉じてしまう
発症:2020年12月頃に左顔面神経麻痺(ラムゼイハント症候群)を発症

現病歴

半年前、飲み物を飲んだときに口から飲み物がこぼれ、その夜には顔が動かなくなり顔のゆがみが発生した。
翌朝、近くの耳鼻科に受診したところ顔面神経麻痺の診断を受けた。原因のより詳細な特定と治療のために大きな病院を紹介され、すぐに受診し帯状疱疹(ヘルペス)後のラムゼイハント症候群であることが判明した。治療のためそのまま入院し10日間ステロイド投与、抗ウィルス薬、メチコバールの服用を開始し、退院後は毎週、神経ブロック注射・リハビリを継続していたが、先日、半年間の治療が終了した。
その後の治療法を探していたときに知人から鍼の有効性を知らされ、インターネットで検索(検索ワード「顔面神経麻痺 鍼」)したところ、ドクター・リウ鍼灸院を発見された。
症例報告の数や内容を確認したところ改善できる希望を見いだしたため、症状改善を目的にドクター・リウ鍼灸院 西新橋((東京慈恵会医大付属病院前)に来された。

鑑別診断

顔面神経麻痺を発症された当時は多忙で、発症した前日には耳が痛くなるという予兆もあったが、現在は帯状疱疹後の神経痛などはない。
増悪因子:精神的な緊張
緩解因子:温熱刺激
発症直後から考えると全体的に症状は改善してきており、現在、真顔では分からないときもあるくらいまで改善したが、未だに口元・目元の左右非対称、動かし辛さ、口を動かすときの目が閉じてきてしまうこと(1~2ヶ月前くらいから共同運動が出現)、味覚の変化(発症した後は味覚を感じられない部分が発生。現在は回復傾向。)などを中心に気になるところが残っている。
柳原法による検査では目の周辺の動きは改善されているが、目の下から口の動きはまだ思うように動けていない。口笛を吹く動作で眼裂狭小化している(共同運動)。ワニの涙、兎眼はない。

治療法

帯状疱疹後のラムゼイハント症候群ということもあり、まずはお灸による免疫力の向上。
頚ぶから肩部、背部の筋緊張緩和による自律神経の調整⑤、さらに腹部の治療による自律神経の調整。
顔面神経周辺の血流改善、神経再生能向上を目的としたアプローチを鍼・指圧マッサージで行う。
施術後、口角を拡げる動作、尾翼を引き上げる動作、口笛を吹く動作での眼裂の狭小化が大幅に改善し、患者さん自身も動きやすさ、つっぱり感の減少を自覚された。
施術後の変化をふまえて、まずは1週間毎の施術を3~4回行い、変化に合わせた治療プランを共有していくことを伝え、次回来院は1週間後。毎日できるセルフケアとして、口腔内からのマッサージを指導した。

前回の鍼灸治療後、当日の夜まで噛むときの顎関節周辺の痛みが出現したが、翌朝には痛みは消失した。
また、「その日は眠くて仕方なかったが、それは鍼と関係あるのか気になった。」と話され、顔面神経は脳神経であるので、そこに対するアプローチ=リラックスに直結することを伝え、リラックスできていることは患部にとっても治療においても非常に良いことであることを共有した。
施術前、顔面の動きに関しての検査では鼻翼を上に上げること、頬の膨らますこと等は初回より改善しており、患者自身も自覚されていたので、2回目の鍼灸治療も前回同様のアプローチを実施。
施術後、筋肉の緊張(こわばり)が減少していること、口をイーとする際の眼裂の狭小化(共同運動)が改善した。
次回も来週、来院予定で治療を継続中。

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