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坐骨神経痛:坐骨神経痛/鍼灸治療レポート28

男性 60代 会社員
症状:右臀部から下肢の痛み

現病歴

来院される1年半前から痛みや痺れが出現するようになったが、痛みが出た原因は思い当たらず、じわじわとした痛みが出始めた。
痛みがなかなか引かなかったので、整形外科を受診。MRI検査で第4腰椎-第5腰椎間の腰椎椎間板ヘルニアと診断された。
痛みや痺れは両側性で右のほうが辛く、場所は特に臀部で、腰から大腿部・下肢へと広がっている感覚がある。
立ち仕事で一日中動き回っており、仕事中が一番辛く、座ることや前かがみになることで楽になる。
もともとうつ病の既往歴などがあり気分が落ちやすく、現在もこの痛みや痺れによるストレスで、睡眠の質の低下や動くのが億劫になるほど、倦怠感を感じることもあるそう。
お酒を飲まないと寝られないことも問題で、鎮痛剤を昼夜2回飲むなどしていたが、お腹の調子がずっと悪く元気がなくなっていたため、ここ1週間は飲まないようにしていると話された。
疼痛部位の改善と痛みによる不調が悪化しないよう、治療を求めて来院された。

鑑別診断

Kボンネットテスト(-)SLRテスト(-)ケンプテスト(-)FNSテスト(-)
筋力テストや知覚検査は異常なし。
動作による痛みもなく、長時間の稼働による辛さ。
腫れや熱感、発赤、腫脹など炎症所見に関しても特になし。
腰椎椎間板ヘルニアによる影響もあると思うが、両側性であることや間欠性跛行がある点などを考慮し、脊柱管狭窄症による中枢の問題が大きく関与していると判断した。

治療法

伏臥位で頚部から背部・腰部・臀部への刺鍼と下肢のマッサージをして、頚部阿是穴に単刺を。その後、瘂門(あもん)、大椎(だいつい)、阿是穴への置鍼を5分。
次に側臥位で腰部、臀部から大腿部外側をマッサージし、阿是穴に単刺した。環跳(かんちょう)、次髎(じりょう)への置鍼を3分。
最後に仰臥位で自律神経の調整のため腹部の状態を確認し、中脘(ちゅうかん)、関元(かんげん)に置鍼を5分。その後、頭部マッサージ、百会(ひゃくえ)・足三里(あしさんり)に単刺し、下肢のストレッチ。
施術後は治療前に感じていた腰の重さや違和感が軽減し、範囲が狭まった感覚があると話された。
筋肉の緊張や腰椎椎間板の圧迫による影響も大きいが、とくに自律神経の乱れや精神状態の悪化による原因が大きいと説明した。
腰部や臀部へのアプローチを引き続き行いつつ、筋肉の硬結に影響する内臓や脳脊髄液へのアプローチの重要性を伝え、1週間後に予約確定し、この日の治療を終了とした。

治療法

ストレッチなどは毎日行っているとのことであったため、ビタミンB群の摂取や白湯などでお腹を温めることをセルフケアとしてアドバイスした。

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