女性 30代 専業主婦
症状:首の痛み、むち打ち
現病歴
来院10日前に雨の降る中サンダルで歩いた際に後ろに滑り、転ばないよう手すりを掴んで前側に身体を振り戻して支えた。どこかぶつけたりはしなかったものの、翌日から頚部に痛みが出始め、現在は左側のみ症状が残った。
後ろに首を倒しさらに左に傾ける動きや、寝起きのタイミングで症状が悪化。入浴で寛解する。
もともと慢性的に首肩こりがあり、寝違えも何度か経験があり、左を下向きにして寝る習慣やカバンを左でもつ習慣がある。過去に怪我や事故の経験はないが、ストレートネックと整形外科で言われたことがある。睡眠はとれており、胃腸の調子は良好。むち打ちの影響が、日常のふとした動作で痛むことが続いて困っていると、ハリアップに来院された。
鑑別診断
安静時痛、夜間痛、腫脹、発赤なし。頭痛やめまい、腕の痺れはなし。
頚部後屈左側屈で肩甲骨上角周辺に痛み。頚部後屈で可動域制限あり。入浴により患部を温めることで緩和する。
上記より、転倒により首に強い力がかかったことにより、むちうち状態になったことで筋緊張が続いていると判断し、頚部の疼痛緩和を目的にした治療と抵抗運動による筋力強化を行う。
治療法
伏臥位で全身をマッサージし、筋緊張緩和を目的に瘂門(あもん)、天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)や阿是穴、上大椎(かみだいつい)、大椎(だいつい)、身柱(しんちゅう)、神道(しんどう)、膏肓(こうこう)に刺鍼を。そのあと、上大椎と曲垣(きょくえん)に置鍼し、再度マッサージを行った。
次に、筋力強化を目的に肩甲骨内縁と後頚部の抵抗運動を実施。左側臥位では上半身マッサージ後、筋緊張緩和を目的に風池、翳風(えいふう)、阿是穴、上大椎、曲垣、手三里に刺鍼し、風池と曲垣に置鍼した。筋力強化を目的に左頚部抵抗運動。仰臥位で頚部と頭部マッサージを行った。
施術後は動作時痛が違和感程度に軽減。可動域も健側である右側と同等になったことを共有。
家事や育児の際のふとした動作への恐怖心がなくなったことで、とても安心されていた。
生活指導
頚部の温めと寝る際に左を上にすること、タオルを使った頚部の抵抗運動を指導。
違和感や凝りが残ると寝違えにも繋がるため、継続的な治療を提案した。