女性
症状:左顔面神経麻痺(ラムゼイハント症候群)
顔面神経麻痺の現病歴
2026年5月22日頃より、咳嗽および喀痰などの感冒様症状が出現した。翌23日夕方より左眼の閉瞼困難を自覚したが、経過観察としていた。
5月24日に医療機関を受診し、頭部MRI検査を施行したが明らかな異常所見は認められなかった。その後の診察で左耳介部に帯状疱疹が確認され、ラムゼイハント症候群と診断された。顔面神経麻痺は中等度と評価された。
発症後は抗ウイルス薬およびステロイド薬を1週間内服し、疱疹の改善に伴い抗ウイルス薬は終了となった。その後、ステロイド薬を4日間追加投与され、メコバラミン(メチコバール®)およびアデホスコーワ®の内服を継続した。
しかし、顔面神経麻痺の改善は認められず、左眼の閉瞼困難により自動車の運転にも支障を来し、就労が困難な状態となっていた。早期改善を希望し、インターネットで「顔面神経麻痺 鍼灸」と検索して当院ホームページを閲覧し、鍼灸治療を希望して来院した。
鑑別診断
初診時には頸部痛および左耳介部の帯状疱疹を認め、味覚異常や聴覚過敏は認められなかった。問診では、育児による慢性的な疲労の蓄積があり、生理前に体調を崩しやすいことが確認された。これらの背景から免疫機能の低下が生じ、帯状疱疹ウイルスの再活性化により顔面神経に炎症が生じ、ラムゼイハント症候群を発症したものと考えられた。
顔面神経麻痺への鍼灸治療
6月4日(第1回)
顔面部への徒手療法を実施後、翳風・顴髎へ置鍼を行った。続いて翳風下部、前頸部、地倉へ施灸を実施した。その後、太陽・晴明・四白、さらに頬車・顎下腺・地倉・迎香へ順次置鍼を行った。加えて腹部(天枢、大横、水分、中脘、関元)および頸肩部(寛骨、風池、天柱、上大椎、肩井)へ刺鍼を施行。
治療直後の自覚的変化は乏しかったため、顔面神経麻痺では初期に集中的な治療を継続することの重要性を説明し、セルフケア指導を実施した。翌日の来院を予定とした。
経過
6月5日(第2回)
前回治療後から著明な変化は認められず、前回と同様の治療を施行した。
6月6日(第3回)
自覚的な大きな変化はなかったものの、額のしわ寄せ動作の改善を認めた。
6月20日(第5回)
両耳に帯状疱疹が出現したが改善傾向を認めた。顔面全体の運動機能は改善していたが、頬を膨らませる際にわずかな空気漏れが残存していた。
6月27日(第7回)
長時間テレビを視聴した際の眼の疲労感は消失し、日常生活に支障がない程度まで改善したため、治療を終了した。


