三叉神経痛について

三叉神経痛の原因と治療例について
三叉神経は脳から直接伸びる神経の中では最も太い神経で、顔面の痛い、冷たい、熱いなどの感覚を脳に伝える役割を持っています。
三叉神経が支配している領域は、後頭部を除くお顔の大半です。
この三叉神経が分布する範囲の一部に痛みが生じるのが三叉神経痛で、顔面のかなり広い範囲に痛みを引き起こします。
特に、頬から顎の周囲に痛みが生じるケースが多いようです。

三叉神経痛のよくある原因
男性よりも女性に多く、特に40代、50代の女性の発症率が高くなっています(ただし、近年は減少傾向にあるように見受けられます)。
頭部の腫瘍や、動脈による神経の圧迫、神経の炎症、副鼻腔炎(鼻の周りにある副鼻腔という空洞部分に炎症が起こる疾患)、耳内部の炎症、ウイルス性の疾患などが原因となって、三叉神経痛を引き起こすケースもあります。
末梢神経(中枢神経から枝のように体全体に伸びている神経)のホルモンや痛みを抑える脳内ホルモンのバランスが崩れている可能性も考えられます。

三叉神経痛の鍼灸治療例
三叉神経痛の症状は頬から顎の周囲にかけて生じますが、目や耳、鼻の疾患も似たような部分に痛みを発生させることがあります。そのため、三叉神経痛ではない疾患が原因となっていないか、問診で発症までの経緯を伺っています。
三叉神経痛の鍼灸治療は、中枢神経と脳内ホルモンを変化させることを目的に、中枢神経に近いツボや経絡(気の通り道)に施術をします。主要穴としては耳門(じもん)・顴髎(けんりょう)・太陽(たいよう)などを選び鍼による治療をします。また、乳様突起の周囲の阿是穴や風池(ふうち)・天柱(てんちゅう)・頬車(きょうしゃ)、四白(しはく)、翳風(えいふう)にも鍼で刺激します。顔面のツボだけではなく、身体全体のバランスをとるように考慮して腕と脚にも施術を行います。
痛みのひどい部位に強い刺激を与えると、身体が硬直してよい治療効果が得られないので、顔面に対しては弱刺激を。さらに、お灸による施術も併用しています。
三叉神経痛の患者さんには、日常生活のアドバイスとして冷たい風にあたることが誘因になる場合もあるので、外の冷たい空気やエアコンの風に直接あたらないようにアドバイスをしています。
また刺激物を食べると、口内の粘膜を刺激して神経が興奮するため、症状が悪化するケースもあるのでビタミンB・Cの摂取を奨めています。
ワンポイントコラム
~三叉神経痛の痛みについて~
カミソリで切られるような、あるいは針で刺されるような鋭い激痛が発生し、この症状が数秒間、または数十秒間持続します。
やがて痛みは消失しますが、瞬間的な痛みが連続して起こる場合もあります。
冷たい風に当たる、顔に触れる、口を開ける、歯を磨くなどの軽い刺激に誘発されて、激痛の発作を起こすのが三叉神経痛の特徴です。
季節の変わり目に発症するケースが多いと言われています。