お灸の仕組み

この記事の監修鍼灸師 渡邊先生

 

お灸をすると、身体の中で何が起きるのか?

 

前々回まで、鍼灸治療、特に鍼のことについてお話してきました。

 

今回はもう一方の治療体系であるお灸についてお話します。

 

今でこそ灸治療は身体に後が残らない・痛くないお灸が主流ですが、

本来のお灸は身体のあるポイントを、艾(もぐさ=ヨモギの葉の裏にある白い繊維)で焼く、

結構熱くて痛い荒療治だったのです。

 

もちろん今でも、あえてある程度の大きさの火傷を作り、

膿を排出させる『打膿灸』といったちょっと勇気と覚悟のいる灸治療も現存しています。

 

効果は絶大ですが、肌に火傷の痕が残ってしまうのが玉に傷です。

 

 

 

 

お灸はやけど?

 

一般的な灸治療は、艾を米粒からその半分ぐらいの大きさに捻り、それを直接肌の上に乗せ点火します。

火は肌の上で燃え尽きるまで焼きますが、普通は水泡ができるような火傷までは負わせません。三段階ある火傷のレベルで分類するならⅠ度熱傷です。

 

Ⅰ度熱傷とは「発赤は生じるが、数日内に引き火傷の痕が残らない程度の火傷」です。

 

ちなみに日焼けもこのレベルです。
水ぶくれができてしまう火傷はⅡ度熱傷です。

 

意図しない水泡ができてしまったら、患者の肌が敏感すぎたのか、艾の質・量の問題でしょう。


灸治療の原理は、あえて微小の傷(この場合は火傷)を作り、生体防御機構を働かせ、自然治癒力を高めることです。

これは、前々回までお話してきた鍼治療の機序とそっくり同じことですね。


さて、ここでひとつ問題が生まれます。

現在の主流である、

火傷を負わせないお灸(せん○ん灸とか、たば○灸など)には果たして効果があるのか?です。


もちろん効果はあります。

今まで私がお話してきた原理とは別の仕組みで効くのです。


人の身体を構成する蛋白質は、43℃以上に熱せられると破壊され始めます。

つまり肉が焼けてしまうのですね。

 

人間が50℃の高温下でも活動できるのは、体温を37℃に維持しているからです。

体温調節は、血流を良くして、熱を運び、汗を流すことで、気化熱として体外に逃がして行っています。


お灸で熱せられた局所の血管は拡張され、血の巡りがよくなります。

熱は血流に乗って運ばれます。

と、同時に局所に滞っていた痛みの物質や老廃物も洗い流され、新鮮な酸素や栄養素などが運び込まれるのです。

 

まとめ

つまり温熱刺激によって血行をよくすることが、熱くない・火傷をしない灸の肝なんですね。

 

だからご家庭でも、鍼灸院で施術してもらった治療ポイントに、ドライヤーの温風を心地よく感じる程度に当てるだけでも十分セルフケアになるのです。


もちろん灸の原理は、今回お話したものが全てではありません。

 

他にも灸治療で引き起こせる生体反応もあります。それはまたいずれお話します。
 


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鍼灸師(ドクター・リウ鍼灸院 渋谷駅前院)